2020.08.25 BeautyAndHealth美容・健康

腸内環境にまつわるあれこれ~その④便秘1〜[吉田管理栄養士]

前回は腸内で善玉菌を増やす食べ物を主にご紹介しましたが、今回は腸の不調のひとつ、便秘についてお話させていただきます。
便秘については様々な原因がありますが、毎日出なかったり、出ていても少量、または残便感、腹痛など悩まれている方も多いのではないでしょうか。
種類や原因、予防法などをまとめましたので、当てはまるなと思った方は注意してみましょう。

前回のコラムはこちら
「腸内環境にまつわるあれこれ〜その③食べ物〜」



便秘の種類
まず、便秘には大きく分けて「機能性便秘」「器質性便秘」「薬剤による便秘」などがあります。
便秘で悩まれる方の多くは機能性便秘といわれておりますので、こちらのコラムでは、機能性便秘について詳しい原因と予防法をお伝えしていきます。
 
●機能性便秘
[弛緩性便秘] 
大腸の筋肉がゆるみ、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう食べたものが腸の収縮運動によって消化吸収されながら直腸に運ばれる)が弱まることで、便が運ばれにくくなり起こる便秘。
高齢者、運動不足、食生活の乱れ、過度なダイエット、食物繊維不足、水分不足などによって起こりやすい。
 
[けいれん性便秘] 
自律神経の乱れにより、腸の蠕動運動が強すぎたり連続性がなかったりして、うまく便が運ばれず起こる便秘。 コロコロした便や、便秘や下痢を繰り返す場合もある。
精神的ストレスによって起こりやすい。
 
[直腸性便秘] 
便が直腸までおりてきていても、神経が鈍り便意を催さず、便が停滞して起こる便秘。
便意があっても習慣的に我慢してしまう方に起こりやすい。
 
●器質性便秘
大腸がんや大腸炎などの疾患により、便が通りにくくなり起こる便秘。
 
●薬剤による便秘
薬によって腸の蠕動運動が抑制されてしまう副作用で起こる便秘。
 
器質性便秘や薬剤による便秘の場合、また生活や食事の改善をしても治らない便秘の場合は、医師に相談のうえ指示に従いましょう。
 
 
予防法
機能性便秘についてはある程度、ご自分の意識で改善できる方法があります。
①   食物繊維を摂る
②   発酵食品を摂る
③   水分を摂る
④   脂質を摂る(良質な油)
⑤   生活リズムを整える
⑥   運動・マッサージ
 
食物繊維を摂る

 
食物繊維は便秘予防以外にも、生活習慣病予防、健康維持のためには大切な成分です。
日本人の食事摂取基準では、成人男性で21g以上、成人女性で18g以上を目標量に設定されています。
便秘予防として食物繊維の役割は、善玉菌のエサとなることや、便のかさを増すことです。
食物繊維は主に野菜、海藻、きのこ類に多く含まれますので、朝、昼、夕の食事ごとに以下の量を目安にしましょう。
 
【 生野菜の場合  】 両手で一杯以上
【加熱野菜の場合】 茹でる、煮る、スープなどにするとカサが減るので片手一杯以上
また、食物繊維は水に溶けやすい性質である水溶性食物繊維、水に溶けにくい性質である不溶性食物繊維の2種類があります。
両方含まれていることが多いですが、それぞれ多く含まれる食材例を挙げます。
 
●水溶性食物繊維が多く含まれる食品例
海藻類、納豆、モロヘイヤ、オクラ、大麦など
 
●不溶性食物繊維が多く含まれる食品例
きのこ、ごぼう、大豆、切り干し大根、ほうれん草など
 
食物繊維の比率は水溶性:不溶性=1:2で摂ることが理想的であるといわれておりますが、まずは葉物野菜、芋類、根菜類、きのこ類、海藻類、果物などを日々の食事に摂り入れることを意識して、バランス良く食事をすることを心がけましょう。(バランスの良い食事は「心地よく過ごすために」のコラムにある偏った食生活にならないためにをご覧ください)
ちなみに、キウイフルーツには二つの食物繊維がバランス良く含まれています。
 
 
※腸の動きが優れない場合、不溶性の食物繊維は摂りすぎると返って消化が滞り、詰まりやお腹のハリにつながる場合がありますので注意しましょう。
 
 
発酵食品を摂る
前回のコラムで挙げた発酵食品を毎日毎食摂り入れましょう。
ただし、近年悩まれる方が増加している過敏性腸症候群やSIBO(小腸内細菌異常増殖症)など、腸の疾患をお持ちの方は、これらの食品が悪化させてしまう可能性もあるため、医師の指示に従うようにしましょう。
 
③水分を摂る
理想的な便の約7080%は水分です。水分が少ないと固く出にくくなったり、便秘の場合はさらに便から水分が腸に再吸収されて、より固く出にくくなってしまう可能性があります。
一日に必要な水分摂取は、食事と飲み物を合わせて1.5L2Lといわれておりますので、飲み物としては1L以上は意識して摂るようにしましょう。食事量が少ない方は食事からの水分摂取も乏しくなったり、高齢の方は水分が不足しやすいので、とくに注意が必要です。また、朝は寝ている間にも汗をかいて身体が枯渇している状態ですので、寝起きで常温以上の飲み物を飲むと内臓が動き、お通じにも効果的です。
 
※カフェインは利尿作用があるため、ベースとなる水分摂取はノンカフェインの飲み物がおすすめです。(水、麦茶、ほうじ茶など)
 
※ミネラルウォーターの選び方
もちろん人にもよりますが、軟水、硬水の選び方にも目を向けてみると良いかもしれません。
【軟水】
ミネラルが少なくまろやかでやさしいのが特徴で、日本はこちらのお水です。下痢になりやすい人はとくにこちらの方がおすすめです。
【硬水】
ミネラルが多く含まれるヨーロッパなどのお水ですが、便をやわらかくしやすいので、便が固くなりがちで便秘になりやすい人におすすめです。
 
 ④脂質を摂る(良質な油)
脂質不足によっても便がスムーズに出にくくなる場合があります。
ダイエットで脂質を控えている方や食が細い方、高齢の方は脂質の摂取量が不足しがちになっている可能性がありますので、とくにオメガ3脂肪酸(良質な油)をしっかり摂り入れるようにしましょう。
例:あじ、さば、さんま、まぐろなど えごま油、あまに油など
 
食事や水分摂取のポイントは以上ですが、これらは、便秘で悩まれる方も悩まれていない方も、健康維持のために基本的に意識していただきたい内容です。
さらにご自身の体質を知って合わせた食事、行動をしていけると良いですね。そのための手段として、くらし薬膳はとてもおすすめです。
 
例えばですが、
・ころころした便が出る ・すっきりしない ・疲れやすい・吹き出物ができやすい・舌が赤い・汗をかきやすい
 
というような症状などがあり、身体が熱タイプで気の不足がみられるような場合には、身体の熱を冷ます作用があり食物繊維が多く含まれているレタスやバナナ、気を補ってくれてエネルギーのあるじゃがいもやとうもろこしなどを積極的に摂り入れるといったように、体調や体質に合わせて選べるようになると、より健康、美容につながっていきます。
 
次回は今回お伝えしきれなかった⑤と⑥についてお話させていただきます。
 
腸と自律神経は大きく関わりますので⑤生活リズムを整えるのところで簡単に解説していきたいと思います。
 
 
 
吉田 桃子/Momoko Yoshida
管理栄養士 
くらし薬膳 栄養アドバイザー
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 

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